专利摘要:
本発明は、一般に、光活性コーティング材料を含むコーティング材料に関する。本発明のある態様では、マイクロ流体チャネル上にコーティングとして形成することができるゾル−ゲルが提供される。ある場合には、このゾル−ゲルの1つまたは複数の部分を反応させてその疎水性を変えることができる。例えば、1組の実施形態では、ゾル−ゲルの一部を紫外線などの光に暴露することができる。この光を使用して、ゾル−ゲル中に、その疎水性を変える化学反応を引き起こすことができる。1組の実施形態では、ゾル−ゲルは、露光するとラジカルを生成する光開始剤を含むことができる。任意選択で、光開始剤は、ゾル−ゲル内のシランまたは他の材料と結合することができる。こうして生成したラジカルを用いてゾル−ゲルの表面で重合反応を引き起こし、表面の疎水性を変えることができる。
公开号:JP2011515236A
申请号:JP2011501785
申请日:2009-02-11
公开日:2011-05-19
发明作者:アダム;アール. アバテ,;デイビッド;エー. ウェイツ,;アンバー;ティー. クルーメル,;クリスティアン ホルツェ,
申请人:プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ;
IPC主号:B81B1-00
专利说明:

[0001] 政府基金
本発明の種々の態様に至る研究は、国立科学財団により少なくとも一部は支援された。合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。]
[0002] 関連出願
本願は、2008年3月28日に出願されたAbateらによる「Surfaces, Including Microfluidic Channels,With Controlled Wetting Properties」と題された米国仮特許出願第61/040,442号の優先権を主張し、この米国仮特許出願は、本明細書中に参考として援用される。]
[0003] 発明の分野
本発明は、一般に、光活性コーティング材料を含むコーティング材料に関する。]
背景技術

[0004] ガラス毛細管マイクロ流体デバイスにより、2007年3月28日に出願されたChuらによる「Multiple Emulsions and Techniques for Formation」と題する米国仮特許出願第60/920,574号(参照により本明細書に組み込まれている)に開示されたものなど、多数の液滴形態のアレイを用いて高単分散エマルジョンを形成することが最近可能になった。こうしたデバイスは、化学的頑強性と精密制御を発揮する。]
[0005] エマルジョンとは、第1の流体を、第1の流体と通常不混和性または実質上不混和性の第2の流体に分散させたときに存在する流体状態である。一般的なエマルジョンの例は、水中油型エマルジョンおよび油中水型エマルジョンである。多相エマルジョンとは、典型的な2流体エマルジョンより複雑に配置された、2つを超える流体、または2つ以上の流体で形成されたエマルジョンである。例えば、多相エマルジョンは、油中水中油型(「o/w/o」)、または水中油中水型(「w/o/w」)とすることができる。多相エマルジョンは、薬剤送達、塗料およびコーティング、食料および飲料、化学的分離、ならびに健康および化粧品などの分野において既存の用途や潜在的な用途があるので特別に興味深い。]
課題を解決するための手段

[0006] 本発明は、一般に、光活性コーティング材料を含むコーティング材料に関する。本発明の主題は、ある場合には、相互に関連する製品、特定の問題への別の解決法、および/または、1つまたは複数の系および/または物品の複数の異なる使用法を含む。]
[0007] 一態様では、本発明は物品を対象とする。1組の実施形態では、この物品は、少なくともマイクロ流体チャネルの一部にコーティングされたゾル−ゲルコーティングを含む。別の1組の実施形態では、この物品は、基体の少なくとも一部にコーティングされたゾル−ゲルコーティングを含む。]
[0008] 別の態様では、本発明は方法を対象とする。1組の実施形態では、この方法は、マイクロ流体チャネルの少なくとも一部をゾルに暴露する工程と、このゾルの少なくとも一部をこのマイクロ流体チャネル内でゲル化させて、ゾル−ゲルコーティングを形成する工程と、このゾル−ゲルコーティングの第2部分の疎水性を変えることなく、このゾル−ゲルコーティングの第1部分の疎水性を変える工程とを含む。]
[0009] さらに別の態様では、本発明は組成物を対象とする。1組の実施形態では、この組成物は、シランに結合した光開始剤を含む。]
[0010] 別の態様では、本発明は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態、例えば、本明細書に記載されたものなどの光活性コーティング材料の製造方法を対象とする。別の態様では、本発明は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態、例えば、本明細書に記載されたものなどの光活性コーティング材料の使用方法を対象とする。]
[0011] 本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図面と共に考慮されるとき、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになろう。本明細書と参照により組み込まれた文書とが相反するおよび/または矛盾した開示を含む場合は、本明細書に従うものとする。参照により組み込まれた2つ以上の文書が互いに相反するおよび/または矛盾した開示を含む場合は、発効日が後の文書に従うものとする。]
[0012] 本発明の非限定的な実施形態を、添付の図面に関して一例として説明する。これらの図面は概略図であり、ある一定の縮尺で描くように意図したものではない。図面では、図示された同一またはほぼ同一の構成要素はそれぞれ、通常は1つの数字によって表わされる。分かりやすくするために、当業者に本発明を理解してもらうための説明が必要ない場合は、すべての図ですべての構成要素に標識を付けることはなく、また、本発明のそれぞれの実施形態のすべての構成要素を示してもいない。図面は以下の通りである。]
図面の簡単な説明

[0013] 図1A〜図1Fは、本発明の様々な実施形態による、様々なコーティングしたマイクロ流体チャネルを示す図である。
図2A〜図2Cは、本発明の別の実施形態における、コーティングした基体のFTIRおよび接触角の測定を示す図である。
図3A〜図3Dは、本発明のさらに別の実施形態における、コーティングしたマイクロ流体チャネルのAFM画像を示す図である。
図4A〜図4Dは、本発明の一実施形態における、多相エマルジョンの製造を示す図である。] 図4A 図4B 図4C 図4D
[0014] 本発明は、一般に、光活性コーティング材料を含むコーティング材料に関する。本発明のある態様では、マイクロ流体チャネルなどの基体上にコーティングとして形成することができるゾル−ゲルが提供される。ある場合には、ゾル−ゲルの1つまたは複数の部分を反応させてその疎水性を変えることができる。例えば、ゾル−ゲルの一部を紫外線などの光に暴露することができる。この光を使用して、ゾル−ゲル中に、その疎水性を変える化学反応を引き起こすことができる。ゾル−ゲルは、露光するとラジカルを生成する光開始剤を含むことができる。任意選択で、光開始剤は、ゾル−ゲル内のシランまたは他の材料とコンジュゲートすることができる。こうして生成したラジカルを用いてゾル−ゲルの表面で縮合または重合反応を引き起こし、表面の疎水性を変えることができる。ある場合には、例えば、露光を(例えば、マスクを使用して)制御することにより、様々な部分を反応させるか、または反応させないままとすることができる。マイクロ流体チャネル内のこうした処理面は、多種多様な用途において有用でありうる。例えば、2008年3月28日に出願されたChuらによる「Emulsions and Techniques for Formation」と題する米国特許出願第12/058,628号に記載されているような、多相エマルジョンなどのエマルジョンの生成において有用でありうる。]
[0015] 本発明は、主として、マイクロ流体チャネル上のコーティング、特定の疎水性(親油性)または疎水性(親油性)のコーティング、疎水性の制御、特定厚さのコーティングなどという文脈で本明細書に記載されている。ある場合には、疎水性に加えてまたは疎水性の代わりに親フッ素性を制御することができる。本発明の種々の態様およびオプションのうちの何れかが、存在してもよく、存在しなくてもよく、および/または、単独で使用されても、または他の態様、オプション、実施例、または実施形態と組み合わせて使用されてもよいことを理解されたい。例えば、一実施形態では、2層以上のゾルを表面に適用することができ、または別のゾル−ゲル混合物で処理した後に光開始剤を適用することもできる。]
[0016] 本発明の一態様では、ゾル−ゲルは、基体の少なくとも一部の上にコーティングされる。当業者には公知であるが、ゾル−ゲルは、ゾルまたはゲル状態にありうる材料である。ある場合には、ゾルゲル材料はポリマーを含むことができる。ゾル状態は、化学反応によってゲル状態に変換することができる。ある場合には、この反応は、例えば乾燥技術または加熱技術によって、ゾルから溶媒を除去することによって促進することができる。したがって、ある場合には、以下に述べるように、例えばゾル内にある程度の縮合を生じさせることにより、ゾルを使用する前にこれを前処理することができる。ゾル−ゲル化学は、一般に、重合と類似しているが、シランを加水分解してシラノールを生成し、引き続きこれらのシラノールを縮合させてシリカまたはシロキサンを形成する一連の反応である。]
[0017] ある実施形態では、ゾル−ゲルコーティングは、ある特定の特性を有するように、例えば、ある特定の疎水性を有するように選択することができる。コーティングの特性は、以下に述べるように、(例えば、ゾル−ゲル内に一定の材料またはポリマーを使用することにより)ゾル−ゲルの組成を制御することによって制御することができ、および/または、例えば、コーティングを縮合または重合反応させてゾル−ゲルコーティングにポリマーを反応させることにより、コーティングを改変することによって制御するこができる。]
[0018] 例えば、ゾル−ゲルコーティングは、ゾル−ゲル中に疎水性ポリマーを組み込むことによって、より疎水性にすることができる。例えば、ゾル−ゲルは、1つまたは複数のシラン(例えば、ヘプタデカフルオロシランまたはヘプタデカフルオロオクチルシランなどのフルオロシラン(すなわち、少なくとも1個のフッ素原子を含むシラン)、あるいはその他のシラン(例えば、メチルトリエトキシシラン(MTES)、またはオクタデシルシランもしくは他のCH3(CH2)n−シラン(但し、nは任意の適切な整数)などの1つまたは複数の脂質鎖を含むシラン))を含有することができる。例えば、nは、1、5、または10を超えることができ、かつ、約20、25、または30未満とすることができる。これらのシランは、任意選択で、アルコキシド基(例えば、オクタデシルトリメトキシシラン)などの他の基も含むことができる。適切なシランの他の例としては、エトキシシランまたはメトキシシランなどのアルコキシシラン、クロロシランなどのハロシラン、またはケイ素原子上にヒドロキシド部分などの加水分解性部分を含む他のケイ素含有化合物が挙げられる。一般に、ほとんどのシランをゾル−ゲル中で使用することができるが、疎水性などの所望の特性に基づいて特定のシランを選択する。他のシラン(例えば、より短いまたはより長い鎖長を有するもの)も、所望の相対的疎水性または親水性などの因子に応じて、本発明の他の実施形態で選択することができる。ある場合には、これらのシランは、ゾル−ゲルをより親水性にする他の基(例えば、アミンなどの基)を含むことができる。非限定的な例としては、ジアミンシラン、トリアミンシラン、またはN−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミンシランが挙げられる。これらのシランを反応させてゾル−ゲル内に網目を形成することができ、縮合の程度は、反応条件を制御することによって(例えば温度、存在する酸または塩基の量などを制御することによって)制御することができる。ある場合には、1種より多いシランをゾル−ゲル中に存在させることができる。例えば、ゾル−ゲルは、得られるゾル−ゲルに、より高い疎水性を示させるフルオロシラン、およびポリマーの生成を促進する他のシラン(または他の化合物)を含むことができる。ある場合には、SiO2化合物を生成して縮合または重合を促進することができる材料、例えばTEOS(テトラエチルオルトシリケート)を存在させることができる。ある実施形態では、シランは、これに結合した4つまでの化学的部分を持つことができ、ある場合には、これらの部分のうちの1つは、例えば、RO−部分(ただし、Rはアルコキシドまたは他の化学的部分である)上に存在することができ、その結果、シランを、金属酸化物系の網目に組み込むことができる。さらに、ある場合には、シランの1つまたは複数を加水分解して、対応するシラノールを形成することができる。]
[0019] さらに、ゾル−ゲルはシランだけを含むことに限定されていないこと、および、シランに加えてまたはその代わりに他の材料を存在させることができることを理解するべきである。例えば、コーティングは、SiO2、バナジア(V2O5)、チタニア(TiO2)、および/またはアルミナ(Al2O3)などの1つまたは複数の金属酸化物を含むことができる。他の例としては、ゾル−ゲルは、ラジカル重合に関与するために、二重結合を含有する部分、または別様に任意の重合反応において反応性を有する部分、例えばチオールを含むことができる。]
[0020] 基体は、ゾル−ゲルを受容することができる任意の適切な材料、例えば、ガラス、金属酸化物、またはポリジメチルシロキサン(PDMS)および他のシロキサンポリマーなどのポリマーとすることができる。ある場合には、基体はケイ素原子を含むものとすることができ、またある場合には、基体がシラノール(Si−OH)基を含むように選択することができ、または基体を改変してシラノール基を有するようにすることができる。例えば、基体を、酸素プラズマ、酸化剤、または強酸もしくは強塩基に暴露して、基体上にシラノール基を形成することができる。基体は、任意の適切な形状、例えば、平面、マイクロ流体チャネルなどを有することができる。]
[0021] ゾル−ゲルは基体上にコーティングとして存在することができ、このコーティングは任意の適切な厚さを有することができる。例えば、コーティングの厚さは、約100マイクロメーター以下、約30マイクロメーター以下、約10マイクロメーター以下、約3マイクロメーター以下、または約1マイクロメーター以下とすることができる。ある場合には、例えばより高い耐化学性が望ましい用途では、より厚いコーティングが望ましいことがある。しかし、他の用途においては、例えば比較的小さなマイクロ流体チャネル内には、より薄いコーティングが望まれ得る。]
[0022] 1組の実施形態では、ゾル−ゲルコーティングの疎水性は、例えば、ゾル−ゲルコーティングの第1部分が比較的疎水性であり、ゾル−ゲルコーティングの第2部分が第1部分より比較的疎水性が高いまたは疎水性が低いように制御することができる。コーティングの疎水性は、当業者に公知の技術を使用して、例えば、以下に述べるような接触角測定を使用して決めることができる。例えば、ある場合には、基体の第1部分(例えば、マイクロ流体チャネル内)は水より有機溶媒を好む疎水性を有することができるが、一方、第2部分は有機溶媒より水を好む疎水性を有することができる。]
[0023] ゾル−ゲルコーティングの疎水性は、例えば、ゾル−ゲルコーティングの少なくとも一部を縮合または重合反応させてゾル−ゲルコーティングにポリマーを反応させることにより、変性することができる。ゾル−ゲルコーティングに反応させるポリマーは、任意の適切なポリマーとすることができ、一定の疎水特性を有するように選択することができる。例えば、このポリマーは、基体および/またはゾル−ゲルコーティングより疎水性またはより親水性であるように選択することができる。一例としては、使用することができる親水性ポリマーはポリ(アクリル酸)である。]
[0024] ポリマーは、(例えば、溶液中の)ゾル−ゲルコーティングにモノマー(またはオリゴマーの)形でポリマーを供給し、ポリマーとゾル−ゲルの間に縮合または重合反応を生じさせることにより、ゾル−ゲルコーティングに加えることができる。例えば、フリーラジカル重合を使用して、ゾル−ゲルコーティングにポリマーを結合させることができる。ある実施形態では、任意選択で、露光させると(例えば、分子の切断により)フリーラジカルを生成することができる光開始剤の存在下で、反応物を熱および/または紫外(UV)線などの光に暴露することにより、フリーラジカル重合などの反応を開始させることができる。当業者は、多くのこうした光開始剤を知っており、Irgacur2959(Ciba Specialty Chemicals)、アミノベンゾフェノン、ベンゾフェノン、または2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシシリルプロポキシ)−ジフェニルケトン(SIH6200.0、ABCR GmbH&Co.KG)など、その多くは市販されている。]
[0025] 光開始剤は、ゾル−ゲルコーティングに加えられるポリマーと一緒に含ませることができる。または、ある場合には、光開始剤をゾル−ゲルコーティング内に存在させることができる。光開始剤は、ある場合には、コーティング工程の後でゾル−ゲルコーティング内に導入することもできる。一例としては、光開始剤は、ゾル−ゲルコーティング内に含ませ、露光させて活性化することができる。光開始剤は、ゾル−ゲルコーティングの成分、例えばシランにコンジュゲートまたは結合させることもできる。一例としては、Irgacur2959などの光開始剤は、ウレタン結合によりシラン−イソシアネートにコンジュゲートさせることができる(この場合、光開始剤の第一級アルコールがイソシアネート基との求核付加に関与することができ、これによりウレタン結合を生成することができる)。]
[0026] なお、本発明のある実施形態では、ゾル−ゲルコーティングの一部だけをポリマーと反応させることができることに留意すべきである。例えば、モノマーおよび/または光開始剤を基体の一部だけに暴露することができる。または、縮合または重合反応を基体の一部だけで開始させることができる。特定の例としては、基体の一部を光に暴露することができる。一方、他の部分は、例えばマスクまたはフィルターの使用によって、光への暴露から防止される。したがって、縮合または重合が基体上のどこでも生じるとは限らないので、基体の異なる部分は異なる疎水性を示すことができる。別の例としては、基体上に露光パターンの縮小された画像を投影することにより、基体を紫外線に暴露することができる。ある場合には、投影技術によって、小さな解像度(例えば、1マイクロメーター以下)を達成することができる。]
[0027] 本発明の別の態様は、一般に、こうしたゾル−ゲルを少なくとも基体の一部上にコーティングする系および方法を対象とする。しかし、以下の記述において、基体の少なくとも一部の「上に」コーティングされるゾル−ゲルについては、例えばあるシランはPDMS内に拡散することができるので、このゾル−ゲルの少なくとも一部は基体内に埋め込まれることがあることを理解するべきである。実際、こうした拡散は、基体上へのゾル−ゲルのコーティングおよび位置決めを促進することができる。]
[0028] 1組の実施形態では、マイクロ流体チャネルなどの基体をゾルに暴露する。次いでこれを処理してゾル−ゲルコーティングを形成する。ある場合には、このゾルを前処理して、部分的な縮合または重合を生じさせることもできる。余分なゾル−ゲルコーティングは、任意選択で基体から除去することができる。ある場合には、先に述べたように、例えば、モノマーおよび/またはオリゴマーを含む溶液にコーティングを暴露して、モノマーおよび/またはオリゴマーとコーティングとの縮合または重合を引き起こすことにより、コーティングの一部を処理してその疎水性(または他の特性)を変えることができる。]
[0029] ゾルは溶媒内に含有させることができるが、この溶媒は、上述したものを含む光開始剤などの他の化合物も含有することができる。ある場合には、ゾルはさらに1種または複数種のシラン化合物を含むこともできる。任意の適切な技術を使用して、例えば、熱などの化学的または物理的技術を使用して溶媒を除去することにより、ゾルを処理してゲルを形成することができる。例えば、ゾルを、少なくとも約50℃、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃、または少なくとも約250℃の温度に暴露することができる。これらの温度を用いて、溶媒の少なくとも一部を飛ばすかまたは蒸発させることができる。具体的な例としては、ゾルを、少なくとも約200℃または少なくとも約250℃の温度に達するように設定したホットプレートに暴露することができ、ゾルをホットプレートに暴露することにより、溶媒の少なくとも一部を飛ばすかまたは蒸発させることができる。しかし、ある場合には、ゾル−ゲル反応は、熱がない状態、例えば室温でも進むことがある。したがって、例えば、ゾルをしばらくの間(例えば、約1時間、約1日など)放置することにより、および/または、空気または他のガス、または液体をゾル上に通すことにより、ゾル−ゲル反応を進行させることができる。]
[0030] 他の実施形態では、光開始剤の代わりに、または光開始剤に加えて他の開始技術を使用することができる。例としては、それだけに限らないが、レドックス開始、例えばある装置の発熱部によって引き起こされる熱分解(例えば、これは、ある特定の温度を有するか、または酸化剤もしくは還元剤を含む、液体流によって行うことができる)が挙げられる。別の実施形態では、例えば、表面が、反応に関与することができる反応性基を含有する場合、表面の官能基化は、重付加反応および重縮合反応によって達成することができる。ある場合には、所望の官能基を含有するシラン、例えば、COOH部分、NH2部分、SO3H部分、SO4H部分、OH部分、PEG鎖などを含有するシランを添加することもできる。]
[0031] ある場合には、残存している任意のゲル化されていないゾルを基体から除去することができる。ゲル化されていないゾルは、積極的に、例えば、加圧、基体への化合物の添加などにより物理的に除去することができる、または、ある場合には、ゲル化されていないゾルは消極的に除去することができる。例えば、ある実施形態では、マイクロ流体チャネル内に存在するゾルを加熱して溶媒を蒸発させることができる。この溶媒は、マイクロ流体チャネル内に気体状態で蓄積し、これによりマイクロ流体チャネル内の圧力が上昇する。ある場合には、この圧力は、ゲル化されていないゾルの少なくとも一部をマイクロ流体チャネルから除去する、または「吹き飛ばす」のに十分なものとすることができる。]
[0032] ある実施形態では、ゾルは、基体への暴露前に前処理して部分的に縮合させる。例えば、ゾルは、部分的縮合がゾル内に生じるように処理することができる。ゾルは、例えば、酸もしくは塩基に、または少なくとも一部のゲル化を生じさせるのに十分な温度に、ゾルを暴露することにより処理することができる。ある場合には、この温度は、ゾルが基体に添加された場合にゾルが暴露される温度より低い温度とすることができる。ゾルの部分的な縮合が生じることがあるが、この縮合は、例えば温度を下げることにより完了に到達する前に停止させることができる。したがって、ゾル内では、完全な縮合は生じていないが、何らかのオリゴマーまたは他の複雑な構造(例えば、分岐構造もしくは球状構造)が生成することがある(これらは、長さの点では必ずしも十分には特性を決定することができない)。先に述べたように、次いで、この部分的に処理されたゾルを基体に添加することができる。]
[0033] ある実施形態では、コーティングが基体に導入された後、コーティングの一部を処理して、その疎水性(または他の特性)を変えることができる。ある場合には、先に述べたように、コーティングは、モノマーおよび/またはオリゴマーを含有する溶液に暴露され、次いで、これらは縮合または重合されてコーティングに結合する。例えば、コーティングの一部を、熱または紫外線などの光に暴露させることができる。これらを使用してフリーラジカル重合反応を開始させ、重合を起こすことができる。任意選択で、この反応を促進するために、例えばゾル−ゲルコーティング内に光開始剤を存在させることができる。ある実施形態では、光開始剤は、モノマーおよび/またはオリゴマーがゾル−ゲルコーティングに共有結合できるように、二重結合、チオール、および/または他の反応性基を含有することもできる。]
[0034] 先に述べたように、本発明の一部の態様では、マイクロ流体チャネルを、ゾル−ゲル材料中でコーティングすることができる。本明細書で使用される「マイクロ流体」とは、少なくとも1つの流体チャネルを含むデバイス、装置または系を指し、ここでこの流体チャネルは、横断面寸法が約1ミリメートル(mm)未満であり、ある場合には、長さと最大横断面寸法との比が少なくとも3:1である。この系の1つまたは複数の導管は毛細管とすることができる。ある場合には、複数の導管が提供される。また、ある実施形態では、本明細書に記載するように、少なくとも一部が入れ子になっている。導管は、マイクロ流体の寸法範囲とすることができ、例えば、平均内径を、または内径を有する部分を、約1ミリメートル未満、約300マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約30マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、約3マイクロメートル未満、または約1マイクロメートル未満とすることができる。これにより、同等の平均直径を有する液滴が形成される。1つまたは複数の導管は、断面において、同じ点における幅と実質上同じ高さを有することができる(しかし、必須ではない)。導管は、導管の平均直径より小さい、これより大きい、またはこれと同じサイズのオリフィスを含むことができる。例えば、導管オリフィスの直径は、約1mm未満、約500マイクロメートル未満、約300マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約30マイクロメートル未満、約20マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、約3マイクロメートル未満などとすることができる。断面では、導管は、長方形であってもよく、または円形もしくは楕円形など実質上非長方形であってもよい。]
[0035] 本明細書で使用される「チャネル」とは、少なくとも部分的に流体の流れを導く、物品(基体)の上またはその中のフィーチャを意味する。チャネルは、任意の断面形状(円形、楕円形、三角形、不定形、正方形、または長方形など)を有することができ、被覆されていても被覆されていなくてもよい。チャネルが完全に被覆されている実施形態では、チャネルの少なくとも1つの部分は完全に囲まれた断面を有することができ、または、全チャネルをその全長に沿ってその入口および/または出口を除いて完全に囲むことができる。また、チャネルのアスペクト比(長さと平均断面寸法との比)は、少なくとも2:1、より典型的には少なくとも3:1、5:1、10:1、15:1、20:1、またはそれ以上とすることができる。開放チャネルは、一般に、流体輸送の制御を容易にする特性、例えば、構造的特性(細長い窪み)および/または物理的または化学的特性(疎水性対親水性)、または流体に力(例えば、収容する力)を及ぼすことができる他の特性を含む。チャネル内の流体は、部分的にまたは完全にチャネルを満たすことができる。開放チャネルが使用される場合は、例えば表面張力(すなわち、凹または凸メニスカス)を利用してチャネル内に流体を保持することができる。]
[0036] チャネルは、任意のサイズのものとすることができる。例えば、流体の流れに垂直な最大寸法を、約5mmまたは2mm未満、または約1mm未満、または約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満、約1ミクロン未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、または約10nm未満とすることができる。ある場合には、チャネルの寸法は、流体が物品または基体を通って自由に流れることができるように選択することができる。チャネルの寸法は、例えば、チャネル内の流体にある特定の容積流速または線流速を可能するように選択することができる。もちろん、チャネルの数およびチャネルの形状は、当業者に公知の任意の方法で変えることができる。ある場合には、2つ以上のチャネルまたは毛細管を使用することができる。例えば、2つ以上のチャネルを使用することができ、それらが互いの内部に配置されている場合、互いに隣接して配置されている場合、互いに交差するように配置されている場合などがある。]
[0037] ある場合には、比較的多くのデバイスを並列して使用することができる。例えば、少なくとも約10個のデバイス、少なくとも約30個のデバイス、少なくとも約50個のデバイス、少なくとも約75個のデバイス、少なくとも約100個のデバイス、少なくとも約200個のデバイス、少なくとも約300個のデバイス、少なくとも約500個のデバイス、少なくとも約750個のデバイス、または少なくとも約1,000個以上のデバイスを並列して操作することができる。デバイスは、種々の導管(例えば、同心導管)、オリフィス、マイクロフルイディクスなどを含むことができる。ある場合には、これらのデバイスを水平および/または垂直に積み重ねることにより、こうしたデバイスのアレイを形成することができる。これらのデバイスは、共通に制御してもよく、別々に制御してもよい。また、用途に応じて、これらのデバイスに、様々な流体の共通または別個の供給源を設けることができる。]
[0038] ある場合には、こうしたコーティング技術が多相エマルジョンの形成に有用なことがある。これらの技術としては、2006年3月3日に出願されたWeitzらによる「Method and Apparatus for Forming Multiple Emulsions」と題する国際特許出願第PCT/US2006/007772号、2006年9月14日にWO2006/096571として公開されたもの;2007年3月28日に出願されたChuらによる「Multiple Emulsions and Techniques for Formation」と題する米国仮特許出願第60/920,574号、2008年3月28日に出願されたChuらによる「Emulsions and Techniques for Formation」と題する米国特許出願第12/058,628号、または2008年3月28日に出願されたChuらによる「Emulsions and Techniques for Formation」と題する国際特許出願第PCT/US2008/004097号などの特許に記載されているものが挙げられる。これらは参照により本明細書に組み込まれている。例えば、1組の実施形態では、多相エマルジョンを形成するために、第1の液滴生成器を使用して内部の液滴を形成することができ、第2の液滴生成器を使用して外部の液滴を形成することができる。任意選択で、これを第3の液滴生成器、第4の液滴生成器などに拡張することができる。液滴生成器は、それらが異なる疎水性を示すように構築することができる。一実施形態では、本明細書に記載されたようなコーティング技術を利用して疎水性を制御する。例えば、第1の液滴生成器は、それが第2の液滴生成器より疎水性(あるいは逆)になるようにコーティングすることができる。こうした系の非限定的な例は、以下の実施例に記載されている。]
[0039] 本発明のある特定の態様による、様々な材料および方法を用いて、先に述べたような系を形成することができる。ある場合には、選択された様々な材料が様々な方法に適している。例えば、本発明の様々な構成要素は固体材料から形成することができる。この場合、チャネルは、マイクロマシニング、スピンコーティングおよび化学蒸着などの膜堆積プロセス、レーザー加工、フォトリソグラフィ技術、湿式化学法またはプラズマ法を含むエッチング法、などによって形成することができる。例えば、Scientific American、248巻、44〜55頁、1983年(Angellら)を参照されたい。一実施形態では、少なくとも流体系の一部は、シリコンチップにフィーチャをエッチングすることによりシリコンから形成される。シリコンから本発明の様々な流体系およびデバイスを精密かつ効率的に製造する技術は公知である。別の実施形態では、本発明の系およびデバイスの様々な構成要素は、ポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」またはテフロン(登録商標))などの弾性ポリマーから形成することができる。]
[0040] 様々な構成要素は様々な材料から製造することができる。例えば、底部壁および側壁を含むベース部分は、シリコンまたはPDMSなどの不透明材料から製造することができ、頂部は、観察および/または流体プロセスの制御のために、ガラスまたは透明ポリマーなどの、透明もしくは少なくとも部分的に透明な材料から製造することができる。しかし、他の実施形態では、用途に応じて、構成要素は透明または部分的に透明である必要はない。基部支持材料が精密で所望の官能基を有していない場合は、内部チャネル壁に接触する流体に所望の化学的官能基を暴露させるように、構成要素をコーティングすることができる。例えば、図示したように、内部チャネル壁を別の材料でコーティングした構成要素を製造することができる。本発明の系およびデバイスの様々な構成要素を製造するために使用される材料、例えば流体チャネルの内壁をコーティングするために使用される材料は、流体系を通って流れる流体に悪影響を及ぼさないかまたはその影響を受けない材料、例えばデバイス内に使用される流体の存在下で化学的に不活性な材料の中から選択できることが望ましい。]
[0041] 一実施形態では、本発明の様々な構成要素は、高分子材料および/または可撓性材料および/またはエラストマー材料から製造することができる。また、成形(例えば、レプリカ成形、射出成形、注型成形など)によって製造を容易にする硬化性流体から形成できることが好都合である。この硬化性流体は、実質的に、流体の網目中で、およびこの網目と共に使用することを意図している流体を含有することができ、および/または輸送することができる固体へと固化させることができる、または自発的に固化する任意の流体とすることができる。一実施形態では、この硬化性流体には、高分子液体または液状高分子前駆体(すなわち「プレポリマー」)が含まれる。好適な高分子液体の例としては、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、またはこうしたポリマーの混合物をその融点を超えて加熱したものが挙げられる。別の例としては、好適な高分子液体として、1種または複数種のポリマーを適切な溶媒に溶解した溶液を挙げることができる。この溶液は、例えば蒸発することによって溶媒を除去すると固体高分子材料を生成する。こうした高分子材料は、例えば溶融状態から、または溶媒を蒸発させることにより固化させることができ、当業者には周知である。様々な高分子材料(その多くはエラストマーである)が好適であり、1つまたは両方の金型マスターがエラストマー材料からできている実施形態では、金型または金型マスターを形成するにも好適である。こうしたポリマーの例の非限定的なリストには、シリコーンポリマー、エポキシポリマー、およびアクリレートポリマーの一般のポリマーが含まれる。エポキシポリマーは、エポキシ基、1,2−エポキシドまたはオキシランと一般に呼ばれる3員環状エーテル基の存在が特徴である。例えば、芳香族アミン、トリアジンおよび脂環式骨格に基づく化合物に加えて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを使用することができる。別の例としては、周知のノボラックポリマーが挙げられる。本発明による使用に好適なシリコーンエラストマーの非限定的な例としては、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、フェニルクロロシランなどのクロロシランを含む前駆体から形成されたものが挙げられる。]
[0042] 1組の実施形態においては、シリコーンポリマー、例えばシリコーンエラストマーであるポリジメチルシロキサンが好ましい。PDMSポリマーの非限定的な例としては、Dow Chemical Co.,Midland,MIによってSylgardの商標で販売されているものが挙げられ、具体的には、Sylgard182、Sylgard184、およびSylgard186が挙げられる。PDMSを含むシリコーンポリマーには、本発明のマイクロ流体構造の製造を単純化するいくつかの有用な特性がある。例えば、こうした材料は、低コストであり、容易に入手可能であり、熱を用いて硬化することによって液状プレポリマーから固化することができる。例えば、PDMSは、通常、液状プレポリマーを、例えば約65℃〜約75℃の温度に、例えば約1時間の露光時間暴露させることによって硬化することができる。さらに、PDMSなどのシリコーンポリマーは、弾性を有するものとすることができるので、本発明の一定の実施形態において必要な、比較的高いアスペクト比を有する非常に小さなフィーチャを形成するのに有用なことがある。可撓性(例えば、弾性的)金型またはマスターはこの点に関して有利になりえる。好適なポリマーの別の例は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−co−3−ヒドロキシヘキサノエート)などのポリヒドロキシアルカノエートである。]
[0043] PDMSなどのシリコーンポリマーから本発明のマイクロ流体構造などの構造を形成する1つの利点は、こうしたポリマーを、例えば、空気プラズマなどの酸素含有プラズマに暴露することによって酸化することができることである。この結果、この酸化した構造は、その表面に、他の酸化したシリコーンポリマー表面と、または様々な他の高分子および非高分子材料の酸化した表面と架橋することができる化学基を含有することになる。したがって、構成要素を製造した後にこれを酸化して、別個の接着剤または他のシール手段を必要とすることなく、他のシリコーンポリマー表面に、または酸化したシリコーンポリマー表面と反応する他の基体の表面に、実質上不可逆的に構成要素をシールすることができる。ほとんどの場合、シールを形成するために補助の圧力を加える必要なく、単に酸化したシリコーン表面を別の表面に接触させることによりシールを完了することができる。すなわち、事前酸化したシリコーン表面は、適切な合わせ面に対するコンタクト型接着剤として働く。具体的には、酸化したPDMSなどの酸化したシリコーンは、それ自体に対して不可逆的にシール可能であるのに加えて、それ自体以外の一定の範囲の酸化した材料に対しても不可逆的にシールすることができる。その例としては、ガラス、シリコン、酸化ケイ素、石英、窒化ケイ素、ポリエチレン、ポリスチレン、ガラス状炭素、およびエポキシポリマーを挙げることができ、これらは、PDMS表面と同様の方法で(例えば、酸素含有プラズマへの暴露によって)酸化したものである。本発明の文脈において有用な酸化方法および封止方法および全体的な成形技術は、当技術分野において、例えば、Anal. Chem.、70巻、474〜480頁、1998(Duffyら)の「Rapid Prototypingof Microfluidic Systems and Polydimethylsiloxane」と題する記事に記載されており、この記事は参照により本明細書に組み込まれている。]
[0044] ある実施形態では、本発明のある特定のマイクロ流体構造(または内部の流体接触面)は、ある特定の酸化したシリコーンポリマーから形成することができる。こうした表面は、弾性ポリマーの表面より親水性とすることができる。したがって、こうした親水性チャネル面は、容易に水溶液で満たしかつ濡らすことができる。こうした表面は、ゾル−ゲルコーティングに有用なものとすることができる。]
[0045] 一実施形態では、本発明のマイクロ流体デバイスの底部壁は、1つまたは複数の側壁または頂部壁、あるいは他の構成要素とは異なる材料から形成されている。例えば、底部壁の内面は、シリコンウェーハまたはマイクロチップの表面、または他の基体を含むことができる。上述のように、他の構成要素を、こうした別の基体に対してシールすることができる。異なる材料からなる基体(底部壁)に対してシリコーンポリマー(例えばPDMS)を含む構成要素をシールすることが望ましい場合には、この基体は、酸化したシリコーンポリマーが不可逆的にシール可能な材料の群(例えば、酸化したガラス、シリコン、酸化ケイ素、石英、窒化ケイ素、ポリエチレン、ポリスチレン、エポキシポリマー、およびガラス状炭素表面)から選択することができる。あるいは、当業者には明らかなように、他のシーリング技術を使用することもできる。これには、別の接着剤、結合、溶剤結合、超音波溶着などを使用することが含まれるが、これらに限定されない。]
[0046] 以下の出願がそれぞれ参照により本明細書に組み込まれている:1993年10月4日に出願されたKumarらによる「Formation of Microstamped Patterns on Surfaces and Derivative Articles」と題する米国特許出願第08/131,841号、現在は1996年4月30日に発行された米国特許第5,512,131号;1998年1月8日に出願されたKimらによる「Method of Forming Articles including Waveguides via Capillary Micromolding and Microtransfer Molding」と題する米国特許出願第09/004,583号、現在は2002年3月12日に発行された米国特許第6,355,198号;1996年3月1日に出願されたWhitesidesらによる「Microcontact Printing on Surfaces and Derivative Articles」と題する国際特許出願第PCT/US96/03073号、1996年6月26日にWO96/29629として公開されたもの;2001年5月25日に出願されたAndersonらによる「Microfluidic Systems including Three−Dimensionally Arrayed Channel Networks」と題する国際特許出願第PCT/US01/16973号、2001年11月29日にWO01/89787として公開されたもの;2005年10月7日に出願されたLinkらによる「Formation and Control of Fluidic Species」と題する米国特許出願第11/246,911号、2006年7月27日に米国特許出願公開第2006/0163385号として公開されたもの;2004年12月28日に出願されたStoneらによる「Method and Apparatus for Fluid Dispersion」と題する米国特許出願第11/024,228号、2005年8月11日に米国特許出願公開第2005/0172476号として公開されたもの;2006年3月3日に出願されたWeitzらによる「Method and Apparatus for Forming Multiple Emulsions」と題する国際特許出願第PCT/US2006/007772号、2006年9月14日にWO2006/096571として公開されたもの;2006年2月23日に出願されたLinkらによる「Electronic Control of Fluidic Species」と題する米国特許出願第11/360,845号、2007年1月4日に米国特許出願公開第2007/000342号として公開されたもの;および、2006年3月3日に出願されたGarsteckiらによる「Systems and Methodsof Forming Particles」と題する米国特許出願第11/368,263号。さらに参照により本明細書に組み込まれたものは、2007年3月28日に出願されたChuらによる「Multiple Emulsions and Techniques for Formation」と題する米国仮特許出願第60/920,574号、2007年3月28日に出願されたChuらによる「Emulsions and Techniques for Formatio」と題する米国特許出願第60/920,574号、2007年3月28日に出願されたChu等による「Emulsions and Techniques for Formation」と題する国際特許出願第PCT/US2008/004097号、および2008年3月28日に出願されたAbateらによる「Surfaces,Including Microfluidic Channels,With Controlled Wetting Properties」と題する米国仮特許出願第61/040,442号である。]
[0047] 以下の実施例は、本発明のある特定の実施形態を説明するように意図されているが、本発明の全範囲を例示するものではない。]
[0048] (実施例1)
この実施例は、打抜いたポリジメチルシロキサン(PDMS)デバイスの単純性を、ガラス界面の化学的頑強性および精度制御と組み合わせた系を説明する。この実施例では、ゾル−ゲル化学反応を用いて、光活性で耐化学性のゾル−ゲル層によりPDMSチャネルをコーティングする。さらに、この実施例は、コーティングに官能性化合物を組み込むことにより、コーティングされた界面の特性を精密に操作できることを示す。コーティングにフルオロシランを組み込むことにより、油中水型逆エマルジョンの形成に適している疎水性界面を生成することができる。コーティングに光活性シランを組み込むことにより、コーティングされた界面を、紫外線グラフト重合によって空間的に改変することができる。これにより、濡れに対してシャープなコントラストを有するマイクロ流体デバイスを簡単に生産することが可能になり、これを使用して、本件と同じ日に出願されたChuらによる「Emulsions and Techniques for Formation」と題する米国特許出願に記載されているような多相エマルジョンを生成することができる。]
[0049] この実施例における光活性ゾル−ゲルコーティングは、ゾル−ゲル網目に埋め込まれたシランに結合した光開始剤(photoiniator)を含有する。この分子を作るために、20.0mLの無水クロロホルム中で、Irgacur2959 11.0g、ヒドロキノン0.01g、およびジブチル錫ジラウレート49.4マイクロリットルを混ぜ合わせた。この混合物が均質になるまでこれを窒素下で撹拌し、シラン−イソシアネート12.1mLを30分かけて徐々に加えた。次いで、この混合物を50℃で3時間撹拌して反応を完了させた。この間に、Irgacurの第一級アルコールは、イソシアネート基との求核付加に関与してウレタン結合を形成すると考えられる。この反応は、副反応の可能性を下げるために無水環境で行われた。これにより純生成物が得られた。これは、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって確認された。反応生成物を濃縮するために、クロロホルムを真空下で除去して帯黄色の固体を得た。これを、さらに精製することなく使用した。]
[0050] 光活性ゾル前駆体混合物を調製するために、TEOS(テトラエチルオルトシリケート)1mL、MTES(メチルトリエトキシシラン)1mL、ヘプタデカフルオロシラン0.5mL、Irgacur−シラン0.5g、トリフルオロエタノール1mL、および塩酸で調整したpH2のH2O 1mLを混ぜ合わせた。この溶液を、透明になるまで、200の℃のホットプレート上で5分間加熱した。この酸は、アルコキシシランの縮合および加水分解反応に触媒作用を及ぼした。加水分解反応は、さらにシランからエトキシ基を切断し、これを水酸基に変換した。シランモノマーは加水分解と縮合によって互いに結合し、より高い分子量の化合物が得られた。得られたオリゴマー前駆体(oligmer precursors)はPDMSと混合可能であり、膨潤を防止した。さらに、事前変換により、ゲル化時の収縮および亀裂も低減し、より均質のコーティングが得られた。]
[0051] PDMSチャネルは、スライドガラスに結合することによってシールされる直前に、酸素プラズマで処理されてシラノール基を生成した。次いで、結合されたデバイスを、事前変換された光活性ゾル混合物で直ちにフラッシングした。事前変換されたシロキサンは、PDMSおよびガラス上の水酸基と反応して共有結合のシリカ結合を形成した。ゲル化反応を開始するために、デバイスを、底部スライドガラスをホットプレートに接触させた状態で、250℃のホットプレート上に置いた。高温により、溶媒を蒸発しつつゲル化が開始した。これにより圧力がチャネル内に発生し、この圧力がチャネルをきれいに掃除して、所望のコーティングが後に残った。]
[0052] コーティングの厚さは、ゾル混合物の粘度と共に増加し、ホットプレートの温度と共に減少した。例えば、より厚いコーティングは、より高い耐化学性が望ましいより大きなチャネルに適している可能性がある。より厚いコーティングを堆積させるために、より高度に事前変換した粘稠なゾル混合物と、より低いホットプレート温度(例えば約150℃)とを使用することができる。10マイクロメートル未満のフィーチャを有するチャネルに、これを詰まらせることなく、より薄いコーティングを適用することもできる。より薄いコーティングを堆積させるために、ゾル混合物の粘度は、例えば、等量以上のメタノール(より低い蒸発温度を有する)で希釈することにより低下させることができる。また、ホットプレート温度を(例えば、250℃に)高くすることができる。]
[0053] コーティング中の光開始剤(photoiniatior)により、紫外線グラフト重合によるチャネルの空間的官能基化(functionanlization)が可能になった。アクリル酸0.2mLを、5MのNaIO4H2O 0.8mL、エタノール1mL、アセトン0.5mL、およびベンゾフェノン0.05gと混ぜ合わせることによりモノマー溶液を調製した。NaIO4とベンゾフェノン(benzopehone)は、この場合、重合を促進するために加えられた。次いで、デバイスをモノマー溶液で満たし、重合させたいところに紫外線を照射した。紫外線は、光開始剤分子を切断することによりラジカルを生成して重合を開始した。成長するアクリル酸ポリマーは、開始剤−シランとの共有結合によって、かつベンゾフェノンにより互いに架橋することによってゾル−ゲル網目に拘束された。ベンゾフェノンは、さらにコーティング中のメチル基から水素を抜き取る。これは界面結合を増加させることになる。重合層の厚さは紫外線暴露の強度および持続時間によって変わった。これは、界面濡れを変化させるためのさらなる制御手段となる。]
[0054] マイクロメートルスケールの紫外線パターン解像度を得るために、ケーラー照明パスの視野絞りの縮小された画像を試料上に投影した。試料への紫外線透過性を確保するために、紫外線に透明な溶融シリカレンズを使用した。液体ファイバー水銀灯を照明(illumantion)に使用した。照明領域のサイズ(したがって、重合領域のサイズ)は、視野絞りのダイヤルにより制御することができる。照明領域の強度(したがって、重合が進む速度)は、集光レンズ絞りのダイヤルにより調節することができる。さらに、より複雑化したパターンを投影するために、視野絞り(field diagram)に様々なパターン化フォトマスクを置くことができる。このチャネルに、その寸法およびポリマー層の所望の厚さに応じて1〜5分間照射した。これらの条件は、特定の用途に応じて通常の技術だけを用いて最適化することができる。例えば、薄いゾル−ゲル層でコーティングされたより小さなチャネルは、厚いゾル−ゲル層でコーティングされた大きなチャネルより長い照射時間を必要とした。]
[0055] コーティングを直接観察するために、チャネル断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像が取り込まれた。図1は、上述のようにして調製されたチャネル断面のSEM像を示す。PDMSチャネルには、低粘度のゾル混合物およびホットプレート温度250℃を用いて、ゾル−ゲルの薄層をコーティングした。コーティングされていないPDMSチャネルは、図1A〜図1Bに示すように、初めは長方形の形状であり、汚れがないPDMS壁を示していた。しかしながら、初めのPDMS側壁の繊細な波状パターン(これはソフトリソグラフィープロセスの人工産物である)は、図1Cのコーティングしたチャネル断面が示すように、ゾル−ゲルコーティングによって滑らかにされた。図1Dに示すように、コーティングしたチャネルのコーナーにも丸みが付けられた。これは、コーティング液がチャネルを濡らしコーナーに集まったからである。コーティングしたデバイスの領域は、紫外線グラフト重合を用いてアクリル酸で官能基化された。図1Eに示すように、グラフトされたポリマーは、ゾル−ゲルの表面に薄層として堆積した。グラフトされたポリマーは、光活性シランを有する結合によってゾル−ゲルに共有結合した。図1Fに示すように、ポリマー層が成長するにつれて、チャネル壁上にパターンが発現した。図1B、図1Dおよび図1Fの画像は、それぞれ図1A、図1Cおよび図1Eの断面の右上コーナーを拡大した画像を示す。スケールバーはすべて5マイクロメートルを示す。] 図1 図1A 図1B 図1C 図1D 図1E 図1F
[0056] グラフトされたポリマーがゾル−ゲル界面上に恒久的に堆積されたことを確認するために、フーリエ変換赤外分光(FTIR)測定を、コーティングされポリアクリル酸がグラフトされた基体に対して行った。FTIRにより、重合前後のコーティングにおける化学基の割合の確認が可能になる。グラフト前は、図2Aに示すように、コーティングのFTIRスペクトルは、波数1670および1700にピークを示した。これらのピークは、光活性シラン中のウレタン結合のカルボニル基に対応するものであった。重合後は、図2Aに示すように、1700のピークは、表面にグラフトされたポリアクリル酸の多くのカルボニル基が加わることにより、振幅が大きくなり広くなった。] 図2A
[0057] グラフト前後のコーティングの官能基による濡れ特性を求めるために、水滴を用いて接触角の測定を行った。スライドガラスに光活性ゾル−ゲルをコーティングし、スライドの半分をポリアクリル酸で官能基化した。スライドのそれぞれの半分の上に水滴を置き、画像を取り込んで接触角を測定した。コーティングしただけのものは、コーティング混合物にフルオロシランを添加したために疎水性であった。したがって、水滴は、図2Aに示すように、玉になって、約106°の接触角を形成した。こうした接触角は、フッ素で処理した表面の接触角と一致しており、コーティングしたマイクロ流体デバイスにフルオロカーボン中水型逆オイルエマルジョンを生成するために使用することができる。対照的に、図2Bに示すように、ポリアクリル酸をグラフトしたスライドの半分では水滴は広がって、約5°の接触角を形成した。こうした親水性デバイスは、コーティングしたPAAグラフトマイクロ流体デバイスに水中油型直接エマルジョンを生成するために使用することができる。] 図2A 図2B
[0058] コーティングの表面トポグラフィーの特性を求めるために、コーティングしたマイクロチャネルとコーティング/グラフトしたマイクロチャネルの両方の原子間力顕微鏡(AFM)画像を取り込んだ。図3Aに示すように、コーティングしただけでのものは平滑で、AFM画像にほとんど構造を示さなかった。対照的に、図3Bに示すように、ポリアクリル酸をグラフトしたチャネルの部分は美しいトポグラフィカル構造を示した。画像は5×10マイクロメートルの面積を示す;暗色から明色へのスケールは高さ0〜150nmのフィーチャサイズにマップする。実際、重合を明視野顕微鏡で見ると、隆起した周期的な波(ridged reptilations)がグラフト領域において徐々に成長するのを見ることができる。この周期的な波の振幅は界面にグラフトされたポリマーの量と共に増大した。] 図3A 図3B
[0059] ポリマーにグラフトすることができる解像度を定量するために、空間的に改変されたチャネルを、ポリアクリル酸に静電気によって結合する染料であるトルイジンブルー(toluidene blue)で染色した。チャネルに0.1重量%の染料水溶液を満たし1分間放置した。次いで、この溶液を1mLのH2Oでフラッシングした。空間的にグラフトし染色したチャネルの明視野画像を図3Cに示す。PDMSチャネルはコーティングされており、右側はPAAをグラフトしたものである。ポリアクリル酸はトルイジンブルー(Toluidene blue)で染色されている。グラフトの空間的精密さを定量するために、図3Dに示したように、チャネルを横切る平均強度をチャネル長の関数として計算しプロットした。強度プロファイルから、この周期的な波は、この特定のデバイスでは約2〜3マイクロメートルの特有の波長を有することが分かる。図3Dにおいてグレーで境界を定めた領域で示したように、コーティングした領域とグラフトした領域の間のコントラストも約5マイクロメートルであると推測された。] 図3C 図3D
[0060] (実施例2)
実施例1に述べたコーティングにより、PDMSチャネルがシャープな濡れのコントラストを有するように改変することが可能になる。これは、エマルジョンの反転および多相エマルジョンの形成、および/または吸着または汚損の発生を防ぐことを含めて、いくつかの用途に有用な可能性がある。一例証として、この実施例において、コーティングし空間的にグラフトしたPDMSデバイスに多相エマルジョンを生成した。エマルジョンには水とフルオロカーボン油(Fluorinert FC40)を使用し、界面活性剤ZonylFSN−100(Sigma−Aldrich)およびKrytox157FSL(Dupont)で安定化した。二相エマルジョンのために、図4Aに示したように、直列に配置された2つの流焦点液滴生成器を有するデバイスをコーティングした。コーティングしただけのものは、ゾル−ゲル網目中の高濃度のフルオロシランのために疎水性であった。したがって、コーティング後、図4Aに示すように、第1の液滴生成器は油中水型逆エマルジョンを生成した。対照的に、ポリアクリル酸をグラフト重合した後、第2の液滴生成器は親水性になる。これにより、図4Aに示すように、第1の液滴生成器の連続油相を乳化させることが可能になり、水中油中水型二相エマルジョンが生成した。図4のスケールバーは60マイクロメートルである。] 図4A
[0061] 三相エマルジョンを生成するために、液滴生成の第3段階をデバイスに連結し、第2の液滴生成器を官能基化してこれを親水性にした。コーティングそのものの濡れ性により、他の液滴生成器段階は疎水性になった。すべての相にFC40、H2Oおよび界面活性剤のみを使用して、図4B〜図4Dに示すように、様々な形態のW/O/W/O型三相エマルジョンを生成した。多相エマルジョン(mutliple emulsion)の形態は、注入された相の流速および液滴生成器段階の形状によって変化した。特に、この特定の実施例においては、デバイスの高さを最も小さな液滴生成器の幅と同等に固定し、かつ後続の液滴生成器の幅を徐々に拡大した場合に、液滴形態を最もよく制御することができた。] 図4B 図4C 図4D
[0062] ゾル−ゲル混合物の化学的性質を操作して、コーティングの固有の濡れ性を制御することができる。これにより、さらなる官能基化を行うことなくエマルジョンの生成が可能になる。コーティングしたチャネルの濡れ性は紫外線グラフト重合によって空間的に改変することができる。これにより濡れのコントラストがシャープな耐化学性チャネルが製造された。このチャネルは、多相エマルジョンの生成または他の適切な用途に使用することができる。]
[0063] 本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記述し図示したが、当業者は、機能を行うための、および/または結果および/または本明細書に記述された1つまたは複数の利点を得るための、様々な他の手段および/または構造を容易に思い描くであろう。そして、こうした変形および/または修正はそれぞれ、本発明の範囲内であると考えられる。より一般には、当業者は、本明細書に記述されたすべてのパラメーター、寸法、材料、および構成が代表的なものであることを意味すること、ならびに、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成が、本発明の1つまたは複数の教示が使用される特定の1つまたは複数の用途によって変わることを容易に理解するであろう。当業者は本明細書に記述された本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を確認するであろう、または型通りの実験だけを用いて確かめることができるであろう。したがって、前述の実施形態は単に一例として提示されたものであること、ならびに、添付された特許請求の範囲およびその等価物の範囲内において、具体的に記述され請求されたものとは別の方法で本発明を実施することができることを理解するべきである。本発明は、本明細書に記述された個々の機能、系、物品、材料、キットおよび/または方法を対象とする。さらに、2つ以上のこうした機能、系、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組合せも、こうした機能、系、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾していない場合は、本発明の範囲内に含まれている。]
[0064] 本明細書において定義され使用されたすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれた文献中の定義、および/または定義された用語の通常の意味より優先されることを理解するべきである。]
[0065] 本明細書および特許請求の範囲内で使用されている「a」および「an」という不定冠詞は、別段の明確な指示がない限り、「少なくとも1つ(at least one)」を意味するものとして理解するべきである。]
[0066] 本明細書および特許請求の範囲で使用されている「および/または(and/or)」という語句は、そのように等位接続された要素の「一方または両方(either or both)」、すなわち、ある場合には接続的に存在し、他の場合には離接的に存在する要素を意味するものとして理解するべきである。「および/または(and/or)」を用いて列挙された複数の要素は、同様に、すなわちそのように等位接続された要素の「1つまたは複数(one or more)」として解釈するべきである。「および/または(and/or)」節により具体的に識別された要素以外の他の要素は、具体的に識別されたこれらの要素に関係があっても無関係であっても、任意選択で存在することができる。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」などのオープンエンド形式の言語と共に使用した場合に、「Aおよび/またはB(A and/or B)」と言及するのは、例えば、一実施形態では、Aのみを指すことができ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみを指すことができ(任意選択でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AとBの両方を指すことができる(任意選択で他の要素を含む)。]
[0067] 本明細書および特許請求の範囲で使用されている「または(or)」という語句は、上に定義された「および/または(and/or)」と同じ意味を有するものと理解するべきである。例えば、リスト中のアイテムを分離した場合、「または(or)」または「および/または(and/or)」は、包括的である、すなわちいくつかの要素またはリストされた要素の少なくとも1つを含み、さらに2つ以上も含んでおり、かつ任意選択でリストに記載されていないアイテムもさらに含む、と解釈されるものとする。「1つのみの(only one of)」または「正確に1つの(exactly one of)」または、特許請求の範囲で使用された場合の「からなる(consisting of)」などの限定的な用語は、別段の明確な指示がない限り、いくつかの要素またはリストされた要素のうちの正確に1つの要素を含むことを意味する。一般に、本明細書で使用されている用語「または(or)」は、「一方(either)」、「1つの(one of)」、「1つのみ(only one)」、または「正確に1つの(exactly one of)」などの排他的な用語が先行した場合、単に排他的選択肢(すなわち「一方または他方であって両方ではない(one or theotherbut not both)」)を示すものとのみ解釈されるものとする。「から本質的になる(consisting essentially of)」が特許請求の範囲で使用された場合、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。]
[0068] 本明細書および特許請求の範囲で、1つまたは複数の要素のリストに関して使用されている「少なくとも1つ(at least one)」という語句は、要素のリスト内の任意の1つまたは複数の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリストされたすべての要素の少なくとも1つだけを含むものではなく、要素のリスト内の任意の要素の組合せを排除するものでもないことを理解するべきである。この定義により、「少なくとも1つ(at least one)」という語句が指す要素のリスト内に具体的に識別された要素以外の要素が、具体的に識別されたこれらの要素に関係があっても無関係であっても、任意選択で存在してもよいということも可能になる。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ(at least one of A and B)」(または、同様な意味合いで「AまたはBの少なくとも1つ(at least one of A or B)」、または同様な意味合いで「Aおよび/またはBの少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、例えば、一実施形態では、Bが存在しない状態で、任意選択で2つ以上を含んで少なくとも1つ、A、を指すことができ(かつ、任意選択でB以外の要素を含み);別の実施形態では、Aが存在しない状態で、任意選択で2つ以上を含んで少なくとも1つ、B、を指すことができ(かつ、任意選択でA以外の要素を含み);さらに別の実施形態では、任意選択で2つ以上を含んで少なくとも1つ、A、を指すことができ、かつ、任意選択で2つ以上を含んで少なくとも1つ、B、を指すことができる(かつ、任意選択で他の要素も含む)。]
[0069] さらに、別段の明確な指示がない限り、本明細書に請求された2つ以上のステップまたは工程を含む任意の方法において、この方法のステップまたは工程の順序は、この方法のステップまたは工程が記載された順序に必ずしも限定されないことも理解するべきである。]
実施例

[0070] 特許請求の範囲においては、上記の明細書と同様に、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「持つ(having)」、「含有する(containing)」、「包含する(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」などのすべての移行句は、オープンエンド形式であること、すなわち、含んではいるが限定されないことを意味することを理解するべきである。米国特許庁の特許審査便覧セクション2111.03に述べられるように、「からなる(consisting of)」および「から実質的になる(consisting essentially of)」という移行句だけは、それぞれ、クローズドまたはセミクローズド形式の語句とする。]
权利要求:

請求項1
マイクロ流体チャネルの少なくとも一部にコーティングされたゾル−ゲルコーティングを含む物品。
請求項2
前記マイクロ流体チャネルが、ポリジメチルシロキサンを含むマイクロ流体デバイス内に画定されている、請求項1に記載の物品。
請求項3
前記マイクロ流体チャネルが、ガラスを含むマイクロ流体デバイス内に画定されている、請求項1に記載の物品。
請求項4
前記ゾル−ゲルコーティングの第1部分が比較的疎水性であり、前記ゾル−ゲルコーティングの第2部分が比較的親水性である、請求項1に記載の物品。
請求項5
前記コーティングがシランを含む、請求項1に記載の物品。
請求項6
前記コーティングがフルオロシランを含む、請求項1に記載の物品。
請求項7
前記コーティングがヘプタデカフルオロオクチルシランを含む、請求項1に記載の物品。
請求項8
前記コーティングがヘプタデカフルオロシランを含む、請求項1に記載の物品。
請求項9
前記コーティングが光開始剤を含む、請求項1に記載の物品。
請求項10
前記コーティングが二重結合を含む部分を含む、請求項1に記載の物品。
請求項11
前記コーティングがチオールを含む部分を含む、請求項1に記載の物品。
請求項12
前記光開始剤がシランに化学結合している、請求項9に記載の物品。
請求項13
前記光開始剤がウレタン結合によって前記シランに結合している、請求項12に記載の物品。
請求項14
前記光開始剤がIrgacur2959である、請求項9に記載の物品。
請求項15
前記ゾル−ゲルコーティングの厚さが約10マイクロメートル以下である、請求項1に記載の物品。
請求項16
前記ゾル−ゲルコーティングの少なくとも一部がアクリル酸を含有する、請求項1に記載の物品。
請求項17
前記ゾル−ゲルコーティングの少なくとも一部がアクリル酸を含む、請求項1に記載の物品。
請求項18
前記アクリル酸が前記ゾル−ゲルコーティングに化学結合している、請求項17に記載の物品。
請求項19
アクリル酸を含む前記ゾル−ゲルコーティングの前記一部が、アクリル酸を含まない前記ゾル−ゲルコーティングの一部より疎水性が低い、請求項1に記載の物品。
請求項20
少なくともマイクロ流体チャネルの一部をゾルに暴露する工程と、前記ゾルの少なくとも一部を前記マイクロ流体チャネル内でゲル化させて、ゾル−ゲルコーティングを形成する工程と、前記ゾル−ゲルコーティングの第2部分の疎水性を変えることなく、前記ゾル−ゲルコーティングの第1部分の疎水性を変える工程とを含む方法。
請求項21
前記マイクロ流体チャネルがポリジメチルシロキサンを含む基体中に画定されている、請求項20に記載の方法。
請求項22
前記基体がポリジメチルシロキサンから本質的になる、請求項21に記載の方法。
請求項23
前記マイクロ流体チャネルがガラスを含む基体中に画定されている、請求項20に記載の方法。
請求項24
前記ゾルがシランを含む、請求項20に記載の方法。
請求項25
前記ゾルがシラノールを含む、請求項20に記載の方法。
請求項26
前記ゾルがフルオロシランを含む、請求項20に記載の方法。
請求項27
前記ゾルがヘプタデカフルオロシランを含む、請求項20に記載の方法。
請求項28
前記ゾルが光開始剤を含む、請求項20に記載の方法。
請求項29
前記光開始剤がシランに化学結合している、請求項28に記載の方法。
請求項30
前記光開始剤がウレタン結合によってシランに結合している、請求項29に記載の方法。
請求項31
前記光開始剤がIrgacur2959である、請求項28に記載の方法。
請求項32
前記ゾルの少なくとも一部をゲル化させる工程が、前記ゾルを加熱する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項33
前記ゾルの少なくとも一部を前記マイクロ流体チャネル内でゲル化させて、ゾル−ゲルコーティングを形成する工程が、前記ゾルを少なくとも約1時間の間分配されないまま放置する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項34
前記ゾルの少なくとも一部を前記マイクロ流体チャネル内でゲル化させて、ゾル−ゲルコーティングを形成する工程が、前記ゾルを少なくとも約1日の間分配されないまま放置する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項35
前記ゾルの少なくとも一部をゲル化させる工程が、前記ゾルの前記一部を少なくとも約200℃の温度に暴露する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項36
前記ゾルの少なくとも一部をゲル化させる工程が、前記ゾルの前記一部を少なくとも約100℃の温度に暴露する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項37
前記ゾルの少なくとも一部をゲル化させる工程が、前記ゾルの前記一部を少なくとも約150℃の温度に暴露する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項38
前記ゾルの少なくとも一部をゲル化させる工程が、前記ゾル内の溶媒を蒸発させる工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項39
前記マイクロ流体チャネルからゲル化されていないゾルを除去する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
請求項40
前記ゲル化されていないゾルの除去をもたらすために圧力を加える工程を含む、請求項39に記載の方法。
請求項41
前記ゾル−ゲルコーティングの前記第1部分の疎水性を変える工程が、前記第1部分をモノマーを含む溶液に暴露する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項42
前記モノマーの少なくとも一部をゾル−ゲルコーティングに重合させることにより、前記ゾル−ゲルコーティングの前記第1部分の疎水性を変える工程をさらに含む、請求項41に記載の方法。
請求項43
前記モノマーをフリーラジカルに暴露することにより前記モノマーを重合させる工程を含む、請求項42に記載の方法。
請求項44
前記モノマーを加熱することにより前記モノマーを重合させる工程を含む、請求項42に記載の方法。
請求項45
光開始剤を紫外線に暴露することにより前記フリーラジカルが生成される、請求項43に記載の方法。
請求項46
前記ゾル−ゲルコーティングの前記第1部分の疎水性を変える工程が、前記マイクロ流体チャネルの少なくとも一部を紫外線に暴露する工程を含む、請求項20に記載の方法。
請求項47
前記紫外線をマスクを通して前記マイクロ流体チャネルに照射することにより、前記第1部分を前記紫外線に暴露し、一方前記第2部分を前記紫外線に暴露しない工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
請求項48
前記マイクロ流体チャネル上に露光パターンを画定する紫外線を投射する工程をさらに含む、請求項46に記載の方法。
請求項49
前記マイクロ流体チャネルの少なくとも一部を反応させてシラノールを生成する工程をさらに含む、請求項20に記載の方法。
請求項50
前記マイクロ流体チャネルの少なくとも一部を反応させてシラノールを生成する工程が、前記マイクロ流体チャネルの少なくとも一部を酸素プラズマに暴露する工程を含む、請求項49に記載の方法。
請求項51
前記ゾル内にある程度の縮合が生じるように、前記マイクロ流体チャネルの不存在下で前記ゾルを処理することにより前記ゾルを前処理する、請求項20に記載の方法。
請求項52
前記ゾルを加熱することにより前記ゾルを前処理する、請求項51に記載の方法。
請求項53
前記ゾルを少なくとも約100℃の温度に暴露することにより前記ゾルを前処理する、請求項51に記載の方法。
請求項54
前記ゾルを少なくとも約150℃の温度に暴露することにより前記ゾルを前処理する、請求項51に記載の方法。
請求項55
前記ゾルを酸に暴露することによりゾルを前処理する、請求項51に記載の方法。
請求項56
前記ゾルを塩基に暴露することによりゾルを前処理する、請求項51に記載の方法。
請求項57
各工程が記載された順に行われる、請求項20に記載の方法。
請求項58
シランに結合した光開始剤を含む組成物。
請求項59
前記光開始剤がウレタン結合によって前記シランに結合している、請求項58に記載の組成物。
請求項60
前記光開始剤がIgacure2959である、請求項58に記載の組成物。
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